こんにちは。ひとりです。
映画「あさひなぐ」を観ました。「あさひなぐ」は、なぎなたに打ち込む女子高校生の物語です。胸ときめかせ高校に入った旭は、純情でちょっとドジな女の子。先輩の策略にはまり、女子ばかりのなぎなた部に入部する羽目に…。

こざき亜衣さんの原作で、ビッグコミックスピリッツで2011年から連載中です。単行本25巻の発行部数は計約250万部に上ります。
部員たちはいずれも個性的で、袴姿が凛々しく素敵
メインキャストは乃木坂46で固められたアイドル映画ですが、アイドルに疎い私はそれも映画を観終えてから知ったこと。部員たちはいずれも個性的で、袴姿が凛々しく素敵です。
なかでも國陵高校なぎなた部の一堂寧々役で出演する生田絵梨花さんが良かったです。映画の後半、二ツ坂高校との練習試合後に道場を去る姿は、寧々の普段のつっけんどんな姿からのぞく別の一面が垣間見られます。
高校生の頃を思い返してみると、私が通っていた学校にはなぎなた部がありませんでした。なぎなたは、運動に縁遠かった子も全国レベルに行ける「部活界のアメリカンドリーム」なのだとか。それも競技人口が少ないからなのでしょうか。
知られざる「なぎなたの街」、兵庫県 伊丹市
スポーツの統括団体が事務局を東京に置くなかで、全日本なぎなた連盟は兵庫県伊丹市を本拠としています。
市内はなぎなたの愛好者が他市と比較すると多く、「なぎなたの街」といわれているそうです。全国高校選抜大会を毎年市内で開き、女子のなぎなたの授業が2011年度には、市立中学校で必修化されています。
市内にある「修武館(しゅうぶかん)」は、なぎなたの聖地の1つで江戸時代から続く道場です。作中にも、修武館や全国高校選抜大会が開催される市立伊丹スポーツセンター体育館が登場します。
ではなぜ、伊丹市なのでしょうか。
修武館のルーツは、地域の治安維持に始まる
修武館のルーツは1786年、伊丹の富豪が地域の治安維持を目的に剣術道場を開放したことに始まります。
伊丹は昔、公家の近衛家の領地でした。治安は住民自らが守るべきと考えた近衛家は1697年、治安維持の先頭に立つ「惣宿老(そうしゅくろう)」という地位を創設します。
その地位には主に地元の富豪が任命され、酒造業を営んでいた小西家の当主も一員に選ばれました。小西家の7代目当主が1786年、剣術の修練のために建てた武道場が修武館のルーツです。
道場は1885年に修武館と名付けられましたが、なぎなたが表舞台に登場するのはそれから約70年あまり先の1954年。小西家の当主に静子が就いてからです。
静子は剣道の一部門に過ぎなかったなぎなたの普及に務め、「全日本薙刀連盟」(現、全日本なぎなた連盟)が1955年に設立されました。
・全日本なぎなた連盟
6万人の有資格者のうち、9割が女性
なぎなたといえばその使い手として武蔵坊弁慶が思い浮かびますが、全日本なぎなた連盟のウェブサイトをのぞくと、理事の大半を女性が占めています。なぎなた連盟によると、全国で約6万人の有資格者のうち実に9割が女性です。あまりの女性の多さに「日本体育協会から『男女平等で』と言われている」そうです。
かつては戦でなぎなたが使われましたが、弓や鉄砲が主流になると廃れ、代わって女性が護身用に身につけたのが、今に続く女性愛好家が多い一因です。
修練の過程で身につけた所作の美しさは、競技を離れた後にも日常のふとした瞬間に表れますね。同じく兵庫県の宝塚歌劇団に属する女性を、例えば日常で見かけてもそうと分かるのに似ているかもしれません。関西でいうところの“シュッとしている”でしょうか。
「野田ともうします。」の江口のりこさん
作中では白滝院の僧侶・寿慶との合宿が、二ツ坂高校なぎなた部の転機となります。寿慶を演じるのが江口のりこさんです。
江口さんに私はつい「野田ともうします。」を重ねてしまいます。
「野田ともうします。」は柘植文(つげあや)さんの漫画を原作にした5分ドラマで、NHK Eテレで放送されていました。太宰治など、文学を愛する地味でマイペースな女子大生・野田さんと、バイト先や大学の影絵サークルの仲間とのやりとりを描いたもの。
野田さんは、埼玉にある東京平成大学の文学部ロシア語科に通う女子大生。「手影絵サークルに所属」「メガネにみつあみ」「トレーナーにGパン姿」。独特なキャラクターを持った彼女は、しばしば級友から浮いてしまう存在です。でも、サークルの先輩や、友人たちは、野田さんのことが気になって仕方がありません。というか、愛されています。
江口さんは兵庫県出身で、19歳で劇団に入り、上京されています。住み込みで朝日新聞を配達されていたこともあり、「朝日の取材はすっごいうれしいです」と。無表情でつかみどころのない役が多いといいますが、私が好きな俳優の1人です。
映画やマンガは効果的なシティープロモーションに
映画やマンガはその舞台となった地域とタイアップすれば、ファン以外にも作品を宣伝しやすいです。
映画やマンガのファンは、作品の物語に深い興味を持って地域を訪れるので、ふるさと納税を始めとする他のシティープロモーションよりも効果が大きいと思います。