2018年3月5日月曜日

美味しいものが安く手に入る、フードシェアリングサービス


こんにちは。ひとりです。

昔から問題になっていることの1つに、食品ロスがあります。食品ロスとは食べられるのに捨てられてしまう食品のことです。家庭や飲食店の食べ残し、売れ残りなど国内の食品ロスは計約621万トンに上ります。(環境省、農林水産省の2014年度推計)

食品ロスの話題が出るたびに「茶碗1杯分のご飯を国民が毎日、廃棄している計算に」「その廃棄量は世界の食料援助量の約2倍」といった、まったく身近に感じない方向に話題が向けられます。


朝昼晩、コンビニで破棄される食料品の数々


自宅で食品を廃棄することが私はほとんどありません。冷蔵庫に残った賞味期限切れの食品を捨てることも、作った料理の食べ残しが出ることもありません。自分が食べる分だけを買う、食べられる分だけの料理を作るなど、それもひとり暮らしだから叶うことでしょうか。

一方自宅外では食品ロスの現実を目のあたりにすることがあります。コンビニで学生の頃にアルバイトをしていました。コンビニでは朝昼晩と約3回に分けて消費期限を管理します。消費期限を過ぎるとレジが通らないため、定時になると店員がカゴを持って商品の裏側に刻印された記号を確認します。カゴの中におにぎりやサンドイッチが無造作に放り込まれる光景はコンビニでは当たり前になっています。

スーパーや外食での食品ロスはなにも日本国内だけの問題ではありません。同様の問題を抱えるフランスの食品ロス防止政策を最近、新聞で読みましたのでご紹介します。


食品廃棄ができないフランスのスーパー


フランスではスーパーの食品廃棄が認められていません。これは国が進める食品ロス防止政策の一環です。消費期限が間近になった商品は、費用を負担してリサイクルするか、寄付するかのどちらかです。

そんな中で、成長しているビジネスがあります。フェニックス社が展開するフードシェアリング事業です。消費期限が間近になった食料品を寄付したい店舗と、それを必要とするNPOをつなぐビジネスです。NPOは貧窮者の生活支援を主にしています。

・フェニックス社

フェニックス社のウェブサイトはフランス語ですが、活動風景が写真でも紹介されています。上記のようなサービスを展開していると頭に入れてウェブサイトをのぞけば、おおよそのイメージが掴めるのではないでしょうか。

フェニックス社は現在、フランスの大手スーパーを始めとする約800店舗と契約して、毎日50トンの食品を回収しています。それが国家の認定を受けたNPO約450件を通じて、10万食分の食事を生み出しています。

スーパーにとってもリサイクルにかかる費用が節約できます。さらにフランスの寄付金控除制度で、寄付した商品の仕入れ額の一部が法人税額から控除されます。契約企業が節約できた総額の3割がフェニックス社の報酬になる仕組みです。


美味しいものが安く手に入るフードシェアリングサービス


フランスのような取り組みは日本ではまだありませんが、民間のフードシェアリング事業が徐々に始まっています。

あるサービスは、余剰食品を定価以下で販売しています。サービス加盟店が余剰食品の価格と取引期限をウェブサイト上に掲載して、ユーザーがウェブ決済の上で店頭に取りに行く仕組みです。キャンセルになった料理やシェフ見習いが作ったピザなど、正規には売れないものの、美味しく食べられる品々が出品されています。

サービスは昨年9月からのテスト運用を経て、来月4月からの実用を目指しています。テスト期間中ながら現在、東京23区を中心に34店、ユーザー約2,300人が登録しています。

食品ロスに限らず、私たちが行動する原動力は損得勘定です。美味しいものが安く手に入るからフードシェアリングサービスを利用する。動機はそれで十分だと思います。


コンビニやアパレルから始まるレジ省人化・食品ロス削減


コンビニでも食品ロス削減に向けた取り組みが始まっています。

経産省、コンビニで電子タグ実証-レジ省人化・食品ロス削減
日刊工業新聞 2018年2月15日

(一部省略)
経済産業省は14日、ファミリーマート経済産業省店(東京都千代田区)などコンビニエンスストア3店舗で、商品に電子タグを貼り、在庫情報などをサプライチェーンで共有する実験を始めた。RFID(無線識別)を用いて商品に貼った電子タグを読み取ることで、特定の商品が「いつ」「どこに」「何個」あるのかを把握する。レジの省人化や、食品ロスの削減を狙う。
経産省は2025年までに、コンビニ大手5社と全ての商品に電子タグを貼り、個品管理を実現することで合意した。

ユニクロでもRFIDを導入してセルフレジ化を進めるニュースがありました。その時は確か、ICタグ関連銘柄(RFID関連銘柄)が高騰しましたね。

RFID導入の壁はその価格です。RFIDリーダーの価格は、ICタグの費用は。稼働するまでのイニシャルコストは当然バーコードと比較して高くなります。ましてやコンビニの全商品となればその数の多さもネックです。

一方でその効果やコストメリットは、RFIDが稼働してから発揮されます。万引き防止に始まり、レジや発注の人件費を含めたランニングコストを加味すれば、決して高過ぎる投資にはならないと思います。

コンビニの万引被害は決して少なくありません。私がアルバイトしていたコンビニも数十年経って、万引被害の多さから廃業したと聞きます。その点でもコンビニへの電子タグ導入は応援したいです。