2018年3月8日木曜日

売場作りの事例。ブルボン「大人プチ」のカットケース陳列


こんにちは。ひとりです。

中小企業診断士の試験科目の1つに運営管理があります。コンビニやスーパーに立ち寄ると、商品の品揃えはもちろん、その陳列方法にも目がいきます。店舗設計(売場作り)が運営管理の知識として求められるからです。

商品の陳列は、お客さんに商品の特徴や魅力を伝えて、手にとってもらう、買ってもらうきっかけになります。陳列方法一つがお客さんの購買心理に大きな影響を与えて、売り上げを左右します。その重要性を示すように、例えばコンビニチェーンでは本部から写真入りで陳列マニュアルが送られてくるほどです。


ブルボン「大人プチ」のカットケース陳列


ブルボンが「大人プチ」で、出荷・陳列用の新しい箱を導入しました。カットケース陳列です。カットケース陳列とは、商品の入っている段ボール箱を切って、商品の陳列にそのまま利用する方法です。

カットケース陳列は価格の安さを表現するのによく用いられますが、今回のように出荷時の箱が、陳列時には商品ポップの役割を果たすこともあります。

1箱には出荷の際、10個の大人プチが入っています。箱の両側面を指で押して上部を引き上げると、箱が上下に分離される仕様です。従来も同じ形でしたが、開封作業にかかる時間は従来の箱の約4分の1に短縮でき、スーパーやコンビニ店員の作業負担が軽減できるといいます。

大人プチシリーズ - ブルボン


商品の陳列は主に3種類に分別


商品の陳列は主に3種類に分別できます。
  1. オープンストック
  2. ショーディスプレー
  3. アクセントディスプレー

大人プチのカットケース陳列は(3)のアクセントディスプレーの1つです。

オープンストックは、販売する商品を効率的に陳列する方法で、見やすい、選びやすい、手にとりやすいことがポイントです。

ショーディスプレーは、特に見せたい重点商品を店頭や店内の要所に展示して、商品と店のイメージを訴求する方法で、陳列商品の企画と演出性がポイントです。

アクセントディスプレーは、陳列方法に強弱を付ける方法で、次のような陳列方法が挙げられます。
  • 大量陳列 … 同一種類の商品を大量に並べて販売促進や売り場の楽しさを演出する
  • ジャンブル陳列 … かごなどに、わざと商品をバラバラに陳列する
  • カットケース陳列 … 商品が入っていた箱をそのままケースに用いて、安さを表現する
  • スロット陳列 … 陳列棚の一部を使って縦長の空間を作り、陳列の単調さに変化をつける
  • ゴンドラ陳列 … 定番商品を主体に、棚のある什器(じゅうき)に陳列する
  • コーディネート陳列 … いくつかの商品を組み合わせて陳列する
  • アイランド陳列 … 通路の中央に置いた平台などに陳列する

またお客さんが見やすく触れやすい陳列範囲はゴールデンラインと呼ばれ、おおよそ床上85~125センチメートルの部分です。


陳列器具の形状の違いと、販売方法の違いで区別


陳列方法は、陳列器具の形状の違いによるパターンと、販売方法の違いによるパターンで区別できます。

陳列器具の形状の違いによるパターン
  • 平らな台に商品を並べる …「平台陳列
  • 衣料品をハンガーに掛ける …「ハンガー陳列
  • 文具や菓子などをフックに掛ける …「フック陳列
  • 洋服を、箱を積み重ねたような什器に並べる …「ボックス陳列
  • ケーキや宝飾品を、ガラスのケースに入れて見せる …「ショーケース陳列
  • ゴンドラの端に商品を大量に配置する …「エンド陳列
  • 売り場にステージを作って商品を見せる …「ステージ陳列

販売方法の違いによるパターン
  • かごなどに、わざと商品をバラバラに陳列する …「ジャンブル陳列
  • 通路の中央に置いた平台などに陳列する …「アイランド陳列
  • サンプル品を陳列する …「サンプル陳列
  • 顧客が自由に商品を手に取れる …「オープン陳列
  • いくつかの商品を組み合わせて陳列する …「コーディネート陳列
  • レジ周りにガムや飴、ファストフードなどの商品を並べて客単価の引き上げを狙う …「レジ前陳列
  • 店舗の前を通行するお客さんに商品をアピールする …「ショーウインドー陳列
  • ドラッグストアでよく見られる壁面の陳列棚に商品を並べて品数豊富な売り場の印象を強める …「壁面陳列

商品陳列はお客さんが求める商品を適切な場所に適切な量を並べることが必要です。せっかく商品を陳列しても見やすく、手に取りやすくないと購入してもらえません。


広告よりもニュースになる方が注目してもらえる


長崎市三芳町のファミリーマート長崎上大橋店は、その商品陳列の徹底ぶりが「美しすぎるコンビニ」として話題になりました。

スナック菓子など袋型の商品は、しわを伸ばして垂直に立てて並べ、丼型のカップ麺は商品名が一目で分かるように蓋を正面に向けて整列…。陳列が綺麗過ぎて、商品を取っていいのか迷うとお客さんに言われたこともあるそうです。

長崎新聞では2月18日に、写真入りで紹介しています。広告を出すよりも、ニュースになる方が注目を集め、訴求力も高まりますね。