こんにちは。ひとりです。
誰でも情報の発信者になれる現在にあって、言いたいことをそのまま発信するのではなく、受け手側に興味を持ってもらい、見たい、読みたいと思ってもらえるような見せ方の工夫が大切です。
雑誌や書籍だけではない、日常にも求められる編集力
受け手側に興味を持ってもらい、見たい、読みたいと思ってもらえるような見せ方の工夫、それが編集です。編集といえば、雑誌や書籍の編集者が思い浮かびます。ほかにも映像の編集などにも使いますね。いずれも職業としての編集ですが、私たちの日常にもこの編集力が必要です。
例えば文字やスタンプを使って友人とやり取りするメールやコミュニケーションアプリでも、知らず知らずのうちに情報を編集しています。出来事を時系列に淡々と伝えるのではなく、まず結果を伝えて相手の興味を惹きつけてから、なぜそうなったのか、話をおもしろおかしく盛ることもまさに編集です。
このように情報を整理して組み合わせ、分かりやすく相手に伝えることを私たちは当たり前のようにしています。ただ正確な情報が誤解なく相手に伝わってこその編集だと思います。
情報は正確に伝わってこそ意味がある
メディアで話題になり注目が集まった校正、校閲の仕事も情報の編集、発信と深く関わっています。いかに分かりやすく編集された情報でも、誤った情報が発信されれば意味がありません。言葉の使い方や言い回しに誤りがないか、名前や地名などの固有名詞、金額や年号の数字に誤りがないか、やはり念入りに確認が必要です。
毎日編集、制作される新聞ともなれば特に厳しい確認体制が求められるのでしょう。そこには私の想像が及びもつかない世界があるのでしょうが、少し覗くことができます。
記事審査部がつぶやく、ことばへのこだわり
日経新聞 記事審査部(校閲担当)が発信するツイッターです。ことばにまつわるあれこれが日々発信され、ことばへのこだわりを垣間見ることができます。
日経新聞 記事審査部(校閲担当)
@nikkei_kotoba
最近のつぶやきでは「恋」の旧字、「戀」にまつわるつぶやきが印象に残りました。
「恋」の旧字は「戀」です。中央大の飯田朝子教授の著書「広告コピーのことば辞典」(日経BP社)によると、上の部分は「糸+糸」の間に「言」があり、絡まった糸を言葉で分けようとしても、簡単に分けられない様子を意味します。そこに「心」を加え、人が思い乱れることを表しているそうです。(11月2日)

「戀」といえば、こんな言い回しも。
いと(糸)しい いと(糸)しいと いう(言) こころ(心)
ペラペラと用もなく辞典を捲ることも
ことばを確認するための辞典といえば、私の部屋の本棚にも並んでいます。

左から順に
- 「類語大辞典」
- 「句読点、記号・符号活用辞典。」
- 「朝日新聞の用語の手引」
- 「新明解 国語辞典」
本来の目的である調べものをする際はもちろん、用もなくたまにペラペラと捲ることがあります。「句読点、記号・符号活用辞典。」などは、「句読点の歴史」から「人名・会社名に使える符号」「近代小説にみる会話文の変遷」など18のコラムが掲載され読み物としても興味深いです。
また「類語大辞典」は、「生きる」から始まり「全宇宙」で終える洒落の効いた構成です。まさに編集の力ですね。



学生の部屋の本棚だと辞典が並んでいることは自然かもしれませんが、社会人の部屋となるとどうでしょうか。社会人の友人宅を訪ねて、もし本棚に辞典があるのを見つけたとき、なんの根拠もなくその人のことを少し信頼できると感じてしまいそうです。
そもそも本棚があることが前提ですが……。