2017年11月11日土曜日

東証セミナーに参加。ハロウィンと市場の不思議な関係


こんにちは。ひとりです。

JPX(東京証券取引所)主催のセミナーが11月11日、関西で開催されました。そのセミナーに参加しましたので、感想をご紹介します。


ハロウィン効果、誰もが儲かる6ヶ月間とは


参加したセミナーは「ハロウィン」と「株式投資」の関係をテーマにしたものです。

セミナーテーマ
『いい投資の日』~ハロウィンと株式市場の不思議な関係!?~

ハロウィンといえば、半年投資といわれるハロウィン効果が挙げられます。今回のセミナー内容もまさにこの効果を解説するものでした。

ハロウィン効果を踏まえた投資方法は、10月末に株を買って翌年の4月末には売り払ってしまうというもので、株保有期間の約6ヶ月間の投資効果の良さ(儲かりやすさ)を表したものです。これはアノマリー(Anomaly)といわれるもので、株式市場において、理論的な根拠があるわけではないが、過去を振り返るとその通りになっている経験則のことです。

ハロウィン効果と投資期間が重なるアノマリーには他に、Sell in may. がありますが、このアノマリーには続きがあります。Sell in May, and go away; don't come back until St Leger day. 相場が高い5月に売り払って、9月半ばにもう一度、株式市場に戻ってこい、というものです。St Leger day(セント・レジャー・デー)とは9月の第2土曜日のことで、米国では競馬の大きなレースが実施されます。

米国市場が例年、6月から9月までは軟調な展開になりやすいというアノマリーを表現しています。ハロウィン効果と期間が重なりますね。

ハロウィン効果
  • 株式保有期間/10月末 — 4月末
  • 市場離脱期間/4月末 — 10月末

セル・イン・メイ
  • 株式保有期間/9月半ば — 5月
  • 市場離脱期間/5月 — 9月半ば

アノマリーはあくまで経験則ですが、その根拠としていわれているのがヘッジファンドの売買によるものです。ヘッジファンドの決算が5月から集中し始めるため、益出しによる売りが高まります。その季節要因から米国の経済指標が弱気になり、また夏場に長期休暇を取る投資家が多く、相場が閑散しやすいことが挙げられます。

ハロウィン効果やセル・イン・メイは本来、米国株のアノマリーですが、日本や欧州など先進国の株式市場は、米国の株式市場と連動する(外国人の売りが波及する)傾向が見られます。5月は相場の転換点になることもあるので、売買の時期として注意した方がよいかもしれません。


下手な売買を繰り返すより、ほったらかしの投資方法が良い


セミナーは岡田克彦さん(関西学院大学 大学院教授 経営戦略研究科)のハロウィン効果についての講演から、セミナー参加者を交えてのトークセッションという流れで、約2時間の内容でした。

【第1部】講演
なぜ11月が『いい投資の日』? ~ハロウィンと投資の不思議な関係~

【第2部】トークセッション
一般投資家の方を交えてのトークセッション


岡田さんは行動経済学が専門で、その視点を踏まえて結局、儲けようと頻繁に売買するよりも、ほったらかしの方が良いと断言されていました。

具体的な投資対象と方法としては、TOPIX(東証株価指数、Tokyo Stock Price Index)に連動した投資信託、もしくはETFを11月から4月末まで機会的に購入して、5月には売り払い、また11月から同じように投資する。それを何年も続けることです。

また他の投資方法として、具体的な銘柄を出しながら季節銘柄(シーズンストック)の話題も挙がりました。

市場データと合わせて時折、挟まれる私見が興味深かったです。証券会社や投資信託の商品銘柄など、現在の投資周辺環境について思うところがあるようで、ご自身でも少し熱くなったとおっしゃるほど。関西訛の口調は穏やかで、内容にも話し方にもセミナー受講者の投資経験を問わず、尊重する姿勢が見えて好感が持てました。


ゲーム感覚のFXと、優待目的の個別株


トークセッションは、3名のセミナー参加者と岡田さんが質疑応答を交えて展開しました。登壇した3名は、事前に交渉済みの関係者男性が2名(30歳代会社員、20歳代大学生)と、当日に参加交渉された1名(30歳前後の女性会社員)です。

投資セミナーにありがちな、参加者の大半が中高年の中にあって、私と同年代の投資経験者の声が聞けたのが良かったです。投資の周辺知識を持った、慣れた司会者の女性が時折質問や合いの手を入れながら進められたため、大変聞きやすかったです。

登壇者3名の投資経験や銘柄選別方法、投資を始めたきっかけです。

・男性/30歳代 会社員
個別銘柄に投資。投資銘柄は、自分で企業の株価指標を調べて選んでいる。企業の株価指標を調べるのが好き。

・女性/30歳前後 会社員
投資対象は、個別銘柄、投資信託、FX(外国為替証拠金取引)、ビットコイン。投資を始めたきっかけは優待目的。

・男性/20歳代 大学生
投資対象はFXのみ。投資予算は10万円前後で、投資手法はスキャルピング(超短期売買)。ゲーム感覚で楽しんでいる。損はしていない。


事前に交渉済みの関係者男性2名は、投資の経験の有無や内容を確認の上で声掛けをされていたのでしょうが、当日交渉された女性の投資対象範囲に驚きました。FXからビットコインまで、投資金額は不明ですが幅広いですね。また投資を始めたきっかけが優待目的など、何十年と経験を経た投資家の声でなく、経験の浅い投資家の声が聞けて良かったです。

投資をしていない人との間では、投資話はご法度です。人の儲け話を喜んで聞く人はいないでしょうし、投資に対しての理解不足からか投資自体にも、投資をする人にも良い印象を持っていない人が多いです。そんな中で、このような若い投資経験者の集まりは貴重だと感じました。


セミナーの開催告知は、入口を複数用意することが大切


私は東証のウェブサイトから普段、セミナーを申し込んでいます。今回はYahoo! ファイナンスの特設ページにもセミナーの告知があり、その特設ページから東証のセミナー申し込みページへのリンクが設置されていたようです。どうりで若い方、また女性の参加者が多かったわけです。

JPX(東京証券取引所)主催セミナー、Yahoo! ファイナンス共催

どんなに内容が優れているセミナーを開催しても、その開催が認知されていなければ意味はないですね。東証の公式サイトだけを見て、セミナーに参加している人は限られているようです。


余談ですが、今年のノーベル経済学賞が10月9日に発表されましたが、講師の岡田さんと同じく行動経済学・行動ファイナンスの専門家が選ばれました。受賞者のシカゴ大学、リチャード・セイラー教授は、日常生活における身近な経済行動について心理学を交えて分析する行動経済学の権威として知られている方だそうです。