こんにちは。ひとりです。
上場企業の株主還元(配当、自社株買い)が15兆円超になる見通しで、5年前の約2倍です。堅調な業績に加えて、株主重視の姿勢を強める企業が米国と同様に増えたためです。(2018年度)
- 配当額 … 10.7兆円(15%増)
- 自社株買い(実施予定を含む)… 4.6兆円(57%増)
- 総還元額(配当、自社株買い)… 15.3兆円(25%増)
企業の手元資金が積み上がり、設備投資や人への投資など将来の成長を見据えた使い方に注目が集まります。
手元資金の膨張で稼ぐ効率が低下。ROEが10%を下回る
現金の2017年度の出入り具合です。
- 営業キャッシュフロー(CF)… 56.4兆円
- 投資CF(設備投資やM&A)… 44.8兆円
差し引き
- 営業CF - 投資CF = 余裕資金 11.6兆円
余裕資金から
- 株主還元 … 2兆円超
最終的に5兆円強が余剰資金として手元に残り、フリーCFは106兆円にまで積み上がっています。
営業CFが2018年度も伸びると、手元資金の膨張で稼ぐ効率が低下したと見なされます。そうすると自己資本利益率(ROE、Return On Equity)は、大台の10%を下回る可能性が出てきます。
ROEは投資家の投資効率を測る指標として使われ、株主が拠出した自己資本で企業がどれだけの利益を上げたかが見えます。
また財務分析では、ROEを以下のように分解することができます。
- ROE(%)= 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100
- 自己資本 = 純資産 - 新株予約権 - 少数株主持分
- ROE = 売上高純利益率 × 総資本(資産)回転率 × 財務レバレッジ