2018年6月24日日曜日

二次試験に。改正食品衛生法で、HACCP(ハサップ)が義務化


おはようございます。ひとりです。

中小企業診断士の二次試験に「HACCP(ハサップ)」が出ることがあります。私が確認したのは、「組織・人事」を対象にした問題文中です。

HACCPとは食の安全を確保する仕組みで、従来は各企業や飲食店が任意に取り組んできたものです。それが、改正食品衛生法が6月7日に成立したことで、全ての食品事業者に義務付けられることが決まりました。もちろん街の飲食店も対象です。


HACCP(ハサップ)は、4工程で食品の安全性を確保


食品の安全性を確保するHACCP(ハサップ)の考え方です。

Hazard Analysis and Critical Control Point
(危害要因分析と重要管理点)

1)工程ごとに危害をもたらす要因を分析する
食べ物は、食材の仕入れから加工、加熱、保管などの工程を経て、お店ならお客に提供されます。それぞれの工程にどんな危害要因が潜んでいるかを洗い出して、影響を分析します。
2)安全を左右する特に重要なポイントを見極める
3)基準を定めて管理する
4)達成状況を確認し、見直す


HACCPの導入に設備投資は不要。ソフト面の徹底が大切


食品事業者へのHACCP(ハサップ)の義務化は、2020年の東京五輪までに施行される見通しです。

HACCPが導入されているのは2016年、食品製造業で3割、また年間販売額が100億円以上の企業に限ると、それが8割に達します。(農林水産省)

HACCPの導入には衛生設備が整った食品工場で取り組む姿が想像できますが、最小限の設備投資で、ソフト面の取り組みのみで済むといいます。ソフト面とは先の4つの工程を徹底することです。


HACCPの起源は、アポロ計画の頃の宇宙開発にあり


HACCPの起源は、アポロ計画の頃の宇宙開発にさかのぼります。宇宙食で食中毒を起こしてはならないと、米航空宇宙局(NASA)が品質管理の方法を徹底しました。それが他の食品管理にまで広がったといいます。

食中毒の患者数は年間約2万人で、その多くが飲食店を通じて感染したと見られます。HACCPを義務化することで、問題が起きた時にその原因が突き止めやすくなるうえ、日々の記録を取ることで品質管理が徹底でき、より良い方法を試行錯誤する土台になります。

食中毒を1度でも起こした食品製造業者や飲食店からは、その商品の購入や客足が遠のきます。数年で信頼を回復することは難しく、その対策としてよくあるのが社名や商品名を変更することです。マネーロンダリングならぬ、ネームロンダリングでしょうか。その一例が雪印乳業です。

雪印乳業は2000年、低脂肪乳で集団食中毒を起こしました。また低脂肪乳が製造されていた工場が、HACCPに基づく工場だったことも注目されました。

その後、統廃合を経て生まれた雪印メグミルクは、消費者から見ればネームロンダリング以外の何物でもありません。

仕事はブーメランです。雑なことをすれば、いずれ自分に返ってきます。