こんにちは。ひとりです。
本を2冊読みました。いずれも中小企業が直面する課題を問うものです。
日本の中小企業 - 少子高齢化時代の起業・経営・承継
著者:関 満博
出版社: 中央公論新社
発売日: 2017/12/20
あの同族企業はなぜすごい
著者:中沢 康彦
出版社: 日本経済新聞出版社
発売日: 2017/11/10

事業継承が中小企業の最大の課題
「日本の中小企業」は、私が中小企業診断士の勉強をしていることもあり、タイトルに惹かれて購入しました。
日本の中小企業はこの30年で半減しています。企業の目的の1つは続けることです。それは利益を上げることと、事業を継承することを抜きにしては語れません。本書でも「事業継承が中小企業の最大の課題」と章立てて解説されています。
・第4章 事業継承が中小企業の最大の課題
- 1 中小企業の事業継承の現場
- 2 家族が承継していく
- 3 第三者承継の現状と可能性
- 4 家族承継と第三者承継の未来
中小企業の社長は、会社を継ぐ子や娘婿がいないと、優秀な従業員に後を託そうとします。次期社長と言い渡された従業員は、家族から「この家が担保になる」と猛反対されるのが落ちだそうです。零細企業が銀行から資金を借りようとすると、社長の個人保証を求められることが多いからです。代表取締役ではない社長が増えているのも、無限責任は負わずにマネジメントのみに専念したい人が後を絶たないからでしょう。
その「家族の壁」ともいえる課題を問うのがもう一冊の「あの同族企業はなぜすごい」です。
AERA「現在の肖像」で、ダイヤ精機株式会社 諏訪さんを取材
私は平日の昼休みによく書店をのぞきます。目当ての本を買うためでもありますが、最近はどんな本が出回っているのかを見たり、新聞の書評欄、広告欄にあった本の立ち読みをしたりと、店内の散策も目的の1つです。
そこで見つけたのが「あの同族企業はなぜすごい」です。丁度「日本の中小企業」のページが終盤に差し掛かったころで、“事業継承”についてもう少し知りたいと思い購入しました。「あの同族企業はなぜすごい」は「日本の中小企業」の「4章2 家族が承継していく」の事例集のような構成で、2冊を重ね合わせて読むことで、理解が深まりました。
また事業継承の話題では、AERA(2月12日発行)「現在の肖像」に諏訪貴子さんが登場しています。諏訪さんはダイヤ精機株式会社の2代目経営者として2004年、社長に就任されました。昨年11月から放送されたNHKドラマ「マチ工場のオンナ」のモデルでもあります。
事業承継は、社長の領分を見直すことから
中小企業の事業継承も課題ですが、その前に経営の現場を見て感じることがあります。私の仕事では、中小企業の方とご一緒する機会が少なくありません。社内で仕事が上手く回っていない会社に限って、社長の領分が広いことが挙げられます。つまり社長が全てを管理したい、自分でやりたいという会社で、No.2といえる存在がいないことです。
販促、出稿1つをとっても社長自らが打ち合わせに参加します。参加する理由を尋ねると、社内に任せられる人がいないから。これではいずれその時が来ても事業を継承することはできないでしょう。社外から社長を招くか、他社の傘下に入るといったところでしょうか。社長自身の営業力は長けたものがありますが、人を育てる、マネジメントする能力は別です。その点も少なからず事業継承に関わっているのではないでしょうか。
前職場でお世話になった先輩が今年始め、退社されたと聞きました。義父の会社に入社するためだそうです。事業継承の問題は、私の身近にも影響しているようです。
11日の日中はポカポカと、久しぶりの陽気でした。日平均気温が5度以上になると、植物の多くが発芽したり伸長したりします。そのような気温が続く期間を「植物期間」と呼ぶそうです。

その期間の長さは地域にもよりますが、北海道では年間200日くらい、九州では320日以上あるようです。気温もそうですが、まず窓から差し込む光に、近づく春を実感しますね。
春の日も光ことにや照らすらむ
玉ぐしの葉にかくるしらゆふ