2018年2月12日月曜日

かくもヘンテコな…。ブルータス連載「ヘンテコノミクス」


こんにちは。ひとりです。

本を購入しました。雑誌「BRUTUS」の人気マンガ連載を書籍化したものです。連載当時から気になっていたページで、書籍化を期待していました。

行動経済学まんが ヘンテコノミクス
原作:佐藤 雅彦、菅 俊一 画:高橋 秀明
出版社:マガジンハウス
発売日:2017/11/16

本を購入しました。雑誌「BRUTUS」の人気マンガ連載を書籍化したものです。連載当時から気になっていたページで、書籍化を期待していました。

雑誌「BRUTUS」の人気マンガ連載を書籍化したものです。連載当時から気になっていたページで、書籍化を期待していました。身近な経済行動から入って、深くて面白い人間心理に接することができます。

身近な経済行動から入って、深くて面白い人間心理に接することができます。


23テーマの読み切り漫画。人間は必ずしも合理的には動かない


表現方法は漫画で、一読するとすんなりと内容が頭に入ってきます。書籍のタイトルにもあるように行動経済学をテーマにした書籍です。

同書のそでには行動経済学(behavioral economic)についての説明書きがあります。

同書のそでには行動経済学(behavioral economic)についての説明書きがあります。

行動経済学(behavioral economic)とは
今までの経済学は、「人間は必ず合理的な経済行動をするもの」という前提で構築されてきました。ところが普段の私たちは、それでは説明できない非合理なふるまいを多くしています。行動経済学とは、従来の経済学では説明しきれない人間の経済行動を人間の心理という視点から解明しようという新しい経済学です。

23テーマから構成された、各回読み切りの漫画です。掲載順序を気にせずにどのテーマから読んでも分かりやすく、目次で気になる言葉を見つければ、意味を知るためにその部分だけ読むこともできます。

例えば第1話のアンダーマイニング効果(報酬が動機を阻害する)。ウェブ上でも立ち読みができるように誌面が公開されています。

アンダーマイニング効果(報酬が動機を阻害する)。1話だけ見ても、人の行動と経済的な考え方は結びついていると分かります。

アンダーマイニング効果(報酬が動機を阻害する)。1話だけ見ても、人の行動と経済的な考え方は結びついていると分かります。

1話だけ見ても、人の行動と経済的な考え方は結びついていると分かります。


ついつい真ん中の価格メニューを選んでしまう、極端回避性


私がなるほど、と思った行動経済学のキーワードをほかにも紹介すると、飲食店を始めとするメニューの松・竹・梅コースが挙げられます。

ついつい真ん中を頼んでしまいますが、店側はそんな心理を見込んで、竹コースで一番利益が出るよう原価設定しているそうです。だから原価が高い松か梅を選ぶのが得策だとか。そこまで考えを働かせて毎回選択を繰り返すのは窮屈ですが、知っておいて損はありませんね。(極端回避性)

また日々の昼食代、数百円を節約しつつも、ネットで数万円の高額な家電や趣味の品を購入するときは昼食代ほど数百円差を気にしないですね。その中でも株取引は最たるものかも知れません。先週のように日経平均が10パーセント近くも下落した折には、数百円の下落では済みませんからね。

本書によれば、全体の母数(低額か高額か)により同じ金額(数百円)の価値が変わる「感応度逓減性」という心の動きがあるからだそうです。


ピタゴラスイッチ、バザールでござーる、2355/0655


著者のひとりは、Eテレの「ピタゴラスイッチ」で有名な佐藤雅彦さん。またNECのマスコットキャラクター「バザールでござーる」を制作した高橋秀明さんが絵を担当されています。

著者のひとりは、Eテレの「ピタゴラスイッチ」で有名な佐藤雅彦さん。またNECのマスコットキャラクター「バザールでござーる」を制作した高橋秀明さんが絵を担当されています。

もう1人の著者、菅俊一(すげしゅんいち)さんへのインタビュー記事が新聞に載っています。(日刊工業新聞 2018年2月12日)

菅さんは多摩美術大学の専任講師(美術学部統合デザイン学科)を務められています。またEテレの「2355/0655」の制作や、佐藤雅彦さんとの共著に「差分」(美術出版社)があります。

「行動経済学まんが ヘンテコノミクス」の制作にあたってはこのように語られています。

一部引用
私の専門は人間の認知や視覚心理学の知見を基に、映像や展覧会などを通じた新しい表現の探究だ。特に人がどう理解し、誤解するのかに興味を持っていた。 
行動経済学はこれに近く、ずっと面白いと思っていた。どう伝えるといいか考えた結果、漫画になった 
7話目は漫画でなければできない表現だ。最初の見開き2ページは、文字だけで絵のない漫画のコマが並んでいて、セリフや説明書きから物騒な話を想像してしまう。 
ページをめくると絵が追加された同じ漫画が展開され、自分の想像は先入観だったと分かる。『代表性ヒューリスティック』という行動経済学の考えを使った

本の最後には参考文献の掲載があります。イソップ童話の「狐と葡萄」や菊池寛の「形」のように、昔から読み継がれる物語も行動経済学の要素が含まれており、興味深いですね。行動経済学を深く知るきっかけになりそうです。

漫画に付く解説文は、いつもこう結ばれています。
— 人間とは、かくもヘンテコな生きものなり


カバーを取ると、登場人物のイラストの下には名前が。

カバーを取ると、登場人物のイラストの下には名前が。こんな遊び心も嬉しく、電子書籍にはないところでしょうか。

こんな遊び心も嬉しく、電子書籍にはないところでしょうか。