2018年2月21日水曜日

企業が海外進出に失敗。経営者が自覚する3つの失敗要因


こんにちは。ひとりです。

大手のみならず中小企業においても海外、特にアジア圏に進出する企業が増えています。少子高齢化が進む日本では今後、国内市場の大きな伸びが見込めなくなってきたこと、人件費の高まりが要因の1つでしょうか。


思いもよらない言葉のニュアンス。中国ビジネスのここに注意


企業規模に関わらず海外事業では、現地の情報収集や販路開拓、品質・ブランド管理、資金調達・回収、知財・模倣品対応、人事・労務管理、現地ビジネスパートナーの確保といった様々な課題に直面します。もちろん進出する国により文化や環境の違いがあります。

例えば「日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査(日本貿易振興機構/JETRO、2016年)」にある海外拠点の所在数を多いものから順に見ると、中国、タイ、米国、ベトナム、台湾と続きます。

所在数1位の中国に関して、興味深い記事が19日の新聞に掲載されています。中国で商売する上でよく使われる決まり文句、その言葉に含まれる思いもよらないニュアンスに注意喚起する記事です。

決まり文句、ニュアンスに注意
  1. ウィンウィンの関係自分が儲かれば良い
  2. 対不起(ドゥエイプチー)非を認めて譲歩する
  3. 好朋友(ハオポンヨウ)/知人
  4. 面子(ミェンズ)自己尊厳意識、自意識過剰、見え張り
  5. 優恵価(ヨウホェイジア)値下げのベース価格
  6. 没有関係(メイヨウグアンシ)先延ばし

1つずつ見ていくと、

1)ウィンウィンの関係
取引で「双方に利益がある」という意味で使われますが、中国で使われる場合は「自分が儲かることが大切で、相手側が儲かろうが損しようがお構いなし」という捉え方が無難です。

2)対不起(ドゥエイプチー)
「顔を合わせられない」という意味で、翻って「自分の非を認めて譲歩する」意味で使われます。日本人が常用する「すみません」は、おおごとになりかねません。同伴する通訳が「すみません」を「対不起」と安易に訳す危険があるからです。中国での交渉事では、安易に謝らないことです。

3)好朋友(ハオポンヨウ)
親友と訳しますが、中国では知り合いにも気安く使います。中国では血のつながりが信用の全てです。日本人が例えば、「好朋友」になろうとすると結婚等の血族の関係が必要になります。一方で親族になろうものなら、親族からの無理難題にも最大限の助力をすることが当然とされてしまいます。

4)面子(ミェンズ)
体面の意味ですが、その裏には自己尊厳や自意識過剰、見え張りの意味が含まれています。

5)優恵価(ヨウホェイジア)
特別価格を意味します。初めて取引する業者だと「今回は初回ですので優恵価(特別価格)で応じてください」といわれますが、次回からはこの特別価格が交渉のベース価格となります。

6)没有関係(メイヨウグアンシ)
契約条件の詳細な交渉に入ると条件を提示する中国企業側は、大局には関係ないので「没有関係(どうでもよい)」という言葉を度々使い、後回しにします。これに流されて契約条件を確認しないと、いざ問題が起きた場合、「既に契約条件を認めたではないか」と居直られてしまいます。

ここに挙げたものは、中国で商売をする上で特に注意することであって、なにも中国だけではありません。世界を相手にするビジネス上では、自分を守るため(儲けるため)には当たり前のことです。

「海外事業が失敗した」と自らを評する中小経営者からは、これらを踏まえた共通の理由が挙げられます。


海外進出に失敗。経営者が自覚するその要因は主に3つ


中小企業経営者が挙げる失敗の理由は、主に3つです。
  1. 海外進出時における戦略や計画の見誤り
  2. 本社による海外子会社の不適切な経営管理
  3. 海外事業の見直し・撤退の判断ミス
共通する失敗の要因としては、事前の情報不足が挙げられます。大手に比べて入手できる情報量が圧倒的に少ない中小企業ならなおさらで、それが海外に単独で進出して、現地で事業を運営すること自体が困難を極めます。

情報を補う方法の1つに例えば、先の調査でも挙げた日本貿易振興機構(JETRO)に相談することが挙げられます。中小企業の海外進出支援は、日本貿易振興機構のサービスの1つです。

・「ジェェトロのサービス」パンフレット | JETRO
世界約70カ所以上の海外ネットワーク活用したサービスメニューを取り揃えて、皆様の海外展開支援をサポートします。
ほかにも世界のビジネスニュースを日々発信しています。
・世界のビジネスニュース(通商弘報) | JETRO
・ジェトロ(日本貿易振興機構) | JETRO

失敗要因の3つ目に挙げた、海外事業の見直し・撤退の判断ミスは、1つ目、2つ目の要因よりも準備が難しいこと、もしくは失敗してから事前の準備が必要だったと気がつくことかもしれません。


海外に進出する前から、撤退基準の議論も


海外へ進出するときは社内でも様々な議論をしますが、どの状態になったら撤退するのか「撤退基準」をあらかじめ決めている会社はほとんどないのが現状です。その際には撤退にかかる期間や必要なコストの検討も必要となります。続けるも、撤退するも時間と労力、費用が掛かります。

撤退基準をあらかじめ設定することは非常に重要なことで、例えば3期連続で累積損失が解消しないなど、継続した状態を評価する基準が必要です。なお、撤退時には補助金取り消しや追加の税金などのコスト、現地社員の退職など長期間に及ぶ場合があることも考慮すべきです。

海外に進出する前から、撤退する(失敗した)時の話をと思われるかもしれませんが、先を読むこと、先の準備をすることもビジネスです。それができないうちはまだ、海外進出のタイミングではありません。

例えとしては、個別株式の売買に近いかもしれませんね。買う時はいろいろと検討するのに、売るタイミングはといえば、その時々の状況によって。買値から何%上がれば利益を確定する、もしくは何%下がれば損切りするなど事前に決めておくことが損しない、もしくは損失を拡大させないための方法です。

事実を踏まえた上で、感情に左右されず機会的に判断することが先につながることかもしれません。