2020年10月5日月曜日

Honda(ホンダ)。F1からの撤退の影に稼ぐ力の低下が見える


こんばんは。ひとりです。

ホンダが2日、フォーミュラ・ワン(F1)から2021年シーズンを最後に撤退すると発表しました。電気自動車(EV)の需要が世界的に高まる中で、F1にこれまで充ててきた研究開発資源を同分野に集中させるためです。 

ホンダはF1を、「走る実験室」と位置づけてきました。レース用の車両開発で得た知識と経験が市販車にも生かせると考えてきたためです。その投資額は毎年、数百億円規模にものぼるといいます。

F1撤退で生まれた経営余力は今後、2030年を目処に世界販売の3分の2をハイブリッド車(HV)などの電動車にするために活用されます。

ホンダのF1カーといえば小学生の頃に一度、触れたことがあります。学校の帰り道にあったホンダのカーショップの店頭にF1車体が展示されていたためです。太くて肉厚なタイヤに低い車高、子どもの体でも狭そうな運転席だったことを今でも覚えています。


稼ぐ力の低下も、F1からの撤退理由か


F1からの撤退を余儀なくされるのは、世界的な環境意識の高まりもあるでしょうが、ホンダの稼ぐ力の低下も見逃せません。

2021年3月期の連結営業利益は前期比68%減の2000億円とリーマン・ショック後の2009年3月期以来の低水準に落ち込む見込みです。

収益性の低下は総資産利益率(ROA、Return On Asset)にも表れています。連結決算(2020年3月期)は2.23%と、2019年3月期、2018年3月期と比べても稼ぐ効率が悪化しているのが分かります。

  • 2020年3月期 … 2.23%
  • 2019年3月期 … 3.07%
  • 2018年3月期 … 5.53%
  • 2008年3月期 … 7.6%

リーマン・ショック後の新興市場の成長に合わせて、また国内外の競合に対抗するために拡充した設備が今、有効活用できていない実態が見えます。2020年3月期の総資産は20兆4614億円と、リーマン・ショック前の6割増です。

世界販売目標600万台を掲げてきましたが、販売台数は今(2020年3月期)、479万台と伸び悩んでいます。

株価はここ5年の安値圏を推移しています。

ホンダ(2020/10/05)

ホンダに限らず、2018年を境にして株価の下落が続く企業は、コロナ以前の“経営”に課題が見えます。