2020年8月28日金曜日

トラスコ 優待廃止。投資家との合意形成手順を踏み外したか


こんにちは。ひとりです。

個人投資家が株価の騰落に及ぼす影響はどの程度でしょうか。株主優待の廃止を21日に発表したトラスコ中山の場合、所有者別株式数の構成比率を見ると、「個人その他」は24.7%です。

  • 自己株式 0.1%
  • 国内法人 33.1%
  • 金融機関・証券会社 24.6%
  • 個人その他 24.7%
  • 外国法人等 17.4%

株主数を見ると「個人その他」は22,848名で約96.42%を占めます。(株主通信 2020/6/30現在、株主数:23,697名)

株主優待の廃止を受けて、個人投資家の全てが持ち株を売却するわけではないでしょうが、株価にその影響が少なからず表れています。

株価は8月19日〜27日までの7日間で8.2%安です。廃止が21日(金)に発表されて1.9%安。翌週の24日(月)には2.9%安です。

売買高は、廃止発表前の20日が56,100株だったのに対して、21日は364,300株、24日は696,500株と大きく増やしています。

売買高
  • 20日 56,100株
  • 21日 364,300株
  • 24日 696,500株

株主優待の廃止目的は、それにかかる費用の削減と物流設備、IT投資への原資確保です。その点は納得できますが、株主優待を毎年楽しみにしていた個人投資家との合意形成の手順を踏み外したように見えます。

例えば、1年以上の長期保有者に、200株から、5000円相当から3000円相当に、2021年に廃止など…… 、優待改悪、廃止を含めて、優待関連費用の削減、株価下落を緩衝する手順はあったはずで、今回の決定はもちろんこれらをすべて考慮した上だったのでしょうが。

同じことを発表するにしても、IRの上手さ下手さで株価は大きく推移します。その点で今回のトラスコ中山は、IR下手ということでしょうか。

ちなみに「DX銘柄 2020」及び「DXグランプリ 2020」選定のお知らせを25日に発表していますが、投資家の反応は薄く、株価上昇の足しになりません。

一定の個人投資家の売却が済めば、今度は買いが入るでしょう。投資家の新陳代謝からくる株価上昇を期待します。


※ 追記(2020/08/28)

「アキラとあきら」が映画化されます。

2019/01/02
銀行が舞台とあって、先の財務・会計の用語が頻出します。当初読み進めていたなかでは然程気にしなかった言葉も、その意味が分かり始めたせいか物語の細部にまで意識が向くようになりました。
アキラとあきら。読み手によって物語の広がりはいかようにも

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