こんにちは。ひとりです。
宅配ピザのチラシがポストに入っています。コロナの影響があってか外食を控え、自宅でピザを食べる人が増えたのかもしれません。
当のピザチェーン店の前を通ると、店内の飲食スペースはなく、また店頭に店員、客がいることは稀です。店員の大半は奥の調理場に、また配達員として出払っているのでしょう。
店頭には「持ち帰りの場合、1枚無料」と、チラシにもある宣伝文句が大きく掲示されています。
客が店まで商品を取りに来ると、どうして1枚無料になるのでしょうか。そもそもピザの原材料費はいくらでしょうか。
2,000円のピザは400円の材料費で作れる
宅配ピザの原材料費(変動費)は2,000円で売られている商品の場合、400円くらいのようです。そうすると1枚売れるごとに1,600円の儲け(限界利益)が出る計算です。
2,000円(販売価格)- 400円(原材料費)= 1,600円(限界利益)
上記のように限界利益が大きい商品は、例えば「30%
OFF」で販売できるなど値引き余地が十分にあります。
2,000円 × 30% = 600円
2,000円 - 600円 - 400円 = 1,000円
このように値引きで販売しても、1,000円の限界利益が出ます。
ただ宅配ピザのコストは、原材料費だけではありません。“宅配”というからには注文した場所まで届けてくれる配達員の人件費がかかります。
バイト代はおよそ1,200円(時給)前後でしょうか。配達員が例えば商品を届けて店まで帰ってくるのに40分かかるとすれば、人件費は800円です。
1,200円 ÷ 60分 = 20円(分給)
20円 × 40分(配達時間)= 800円
ここで先の「30% OFF」の計算式をもう一度。
2,000円(販売価格)- 600円(30%値引き)- 400円(原材料費)= 1,000円
ここに配達員の人件費を加えると、200円まで限界利益が下がります。
2,000円 - 600円 - 400円 - 800円(配達員人件費)= 200円
値引きで注文が沢山きても、配達員を追加で雇うようなことになればその分の費用が増えます。
持ち帰りと配達の、限界利益の差は1,000円
ここで「持ち帰りの場合、1枚無料」の種明かしです。
値引きで集客するのではなく、「持ち帰りの場合、1枚無料」にすることで、配達員の人件費を節約できます。
定価で、持ち帰りの場合に1枚無料にした場合
2,000円(販売価格)- 400円(原材料費、1枚目)-
400円(原材料費、持ち帰り無料分)= 1,200円
値引きで配達した場合
2,000円(販売価格)- 600円(30%値引き)- 400円(原材料費)-
800円(配達員人件費)= 200円
限界利益を比較すると
- 持ち帰りの場合、1枚無料 … 限界利益 1,200円
- 値引き宅配の場合 … 限界利益 200円
その差は1,000円になります。
ここでもう1例を。値引きせずに配達した場合の限界利益です。
2,000円(販売価格)- 400円(原材料費)- 800円(配達員人件費)= 800円
値引きの有無にかかわらず、持ち帰ってもらうほうが店としては限界利益が上がることが分かります。では客としてはどれが得(満足)なのか。
得でいえば、1枚無料でしょうが、配達してもらえるという満足でいえば、値引きの上で届けてもらえるほうでしょう。
いずれにしても、私は宅配ピザを頼みません。食パンで作る焼き立てのピザもどきで十分です。
厚切りトーストにこんがりベーコン、溶けたチェダーチーズが食欲をそそります。ここにバジルを添えれば完成です。