2018年1月30日火曜日

SBI jcool、センバツ。年 74.15%の投資信託が買付停止に


こんにちは。ひとりです。

NISA口座で運用している投資信託について1月29日、買付注文の受注停止、ならびに積立設定注文失効の連絡がありました。スポット購入も積立買付もできなくなったということです。一方で売却は通常通り可能なので、焦ることはありません。


+74.15%(1年間)の好成績投信が買付停止に


買付できなくなった投資信託はこの2本です。

■ 対象銘柄
「SBI小型成長株ファンドジェイクール(愛称:jcool)」
「SBI日本小型成長株選抜ファンド(愛称:センバツ)」


■ 新規の買付のご注文
2018年1月29日(月)以降、新規注文の受付を停止させていただきます。
※26日15時以降の買付注文につきましては「失効」とさせていただきます。

■ 積立買付のご注文
2018年1月29日(月)以降の積立買付注文はすべて「失効」とさせていただきます。

両商品とも運用方針は同じで、新規公開(IPO)銘柄に投資するというもの。積立買付の可否、分配金の有無で名称が異なります。

■ 運用方針
マザーファンド受益証券への投資を通じて新規公開(IPO)という、いわば「第2の創業期」を成長の契機として、新たに成長を加速する、企業家精神に溢れた「次代を拓く革新高成長企業」に厳選投資します。

運用成績は良好で、1年間で+74.15%、3年間で+111.87%です。一方で信託報酬の値下げ競争が激しいご時世にあって、信託報酬は年1.458%とインデックス投信と比較すると高い割合です。ただ、信託報酬が低くて成績の伸びない投資信託よりも、高い信託報酬でもそれ以上の成績が得られれば問題はありません。目先の小さな損得に惑わされないことです。

私がNISA口座で積立買付していたものは“センバツ”です。今年に入ってから積立し始めたものですので、評価額はわずか79,438円。損益は+4,438円と元本比+5.92%と上々です。


「ほかと差別化が図れない」買付停止の理由


案内資料によると、買付停止の理由は1つ。

・新規公開株に投資する運用方針がほかの投資信託にも広がり、差別化が図れないようになるから

以下引用
近時、当該ファンドの信託財産の運用にあたって、当該ファンドを含め同じ戦略に基づき運用しているファンドの資産残高が急拡大していることを受け、弊社及び運用助言先であるエンジェルジャパン・アセットマネジメント株式会社との間で今後の対応について協議を行いました。 
その結果、主要投資対象である国内株式の新興市場の規模および流動性などを総合的に勘案すると、現状での資産残高の拡大が今後も続いた場合、当該ファンドにおける付加価値のご提供が将来的に困難になる恐れがあるとの結論に至り、投資家の皆様にご迷惑をおかけすることを避けるために、やむを得ず新規のご購入お申込み受付を停止することといたしました。


NISA口座で新たな投資信託を運用開始


NISA口座では今回の投資信託を含めた2商品を積立買付していました。

・SBI-SBI日本小型成長株選抜ファンド
・SBI-中小型成長株ファンド -ネクストジャパン-(年2回決算型)

日本小型成長株選抜ファンドが今後、買付できなくなると1商品のみの運用になります。そこで新たな投資信託の運用を始めます。

・SBI-SBI中小型割安成長株ファンド ジェイリバイブ(年2回決算型)

この商品は既に課税口座で運用していたものですが今回、NISA口座でも積立買付の指示を出しました。積立買付を始めてまだ1ヶ月しか経ってない中での商品変更です。

良い成績をあげている投資信託だけに今回の買付停止は残念ですが、良い成績をあげているだけに、その決断と行動にも信頼感があります。何を信じるかよりも、誰を信じるかでしょうか。


※ 追記(2018/3/4)
2018/3/4
SBI jcool、センバツ。年 74.15%の投資信託が買付再開に
SBI jcool、センバツ。年 74.15%の投資信託が買付再開に。買付の申込みが再開される両商品は、エンジェルジャパン・アセットマネジメント(エンジェル社)が投資助言を担っています。jcoolは38.85%、センバツは28.04%と、いずれの商品も過去3年間で高い成績を上げています。


トンチン年金保険。長生きするほど年金が受け取れる仕組み


こんばんは。ひとりです。

50歳以上の方に人気の保険があるそうです。それが「トンチン年金」と称される年金保険です。


長生きするほど多くの年金が受け取れる年金保険


トンチン年金の加入者は50歳以上に限定され、早く死ぬと払い込み保険料の7割相当の死亡給付金しか支払われない代わりに、死亡給付金に回らない残りの3割部分や保険料の運用益などが、生きている人の年金原資にプラスされます。つまり長生きするほど多くの年金が受け取れる仕組みです。損得は死んだ当の本人には関係ありませんが、遺族には大きな問題なのでしょう。

日本生命保険がトンチン年金を始めたのが2016年4月で、約1年後の2017年6月には契約件数が4万件を超えています。また同様の年金保険が2017年3月、第一生命保険からも販売されています。


トンチン年金への加入者は、50歳代の女性が4割


トンチンは、イタリア人銀行家 ロレンツォ・トンティが17世紀(約400年前)に考案した制度に由来する保険です。死亡時の遺族もしくは受取人への保険金支払額を抑えることで、その分生きている人の年金額の支払いに回す仕組みです。

先の日本生命が販売する「GranAge(グランエイジ)」の場合、加入対象年齢が50~87歳まで。終身か10年確定のいずれかの方法で年金が受け取れます。

例えば50歳から70歳までの20年間保険に加入して終身年金を受け取る場合、保険料は毎月5万790円に。20年間の支払い額は約1,219万円になります。71歳から受け取れる年金は年60万円、90歳過ぎまで長生きすれば支払った年金保険分を上回る金額が受け取れる計算です。加入者は女性の割合が高く、50歳代が約4割を占めるといいます。


女性の4人に1人は95歳まで生きる時代


日本人の平均余命は上昇の一途をたどっています。男性は約85歳、女性は約91歳と、2065年には現在から4歳以上伸びる見込みです。加えて、100歳以上の人口は50年後には2015年の10倍を超える約70万人に達する見込みです。

女性だけを見てみると、現在の平均余命は約87歳。2人に1人は90歳まで、4人に1人は95歳まで生きる時代で、100歳以上の高齢者の男女比を見ると、ほぼ9割が女性です。※ 厚生労働省「簡易生命表」(2016年)、厚生労働省「男女別百歳以上高齢者数の年次推移」(2017年9月)


長く生きることは社会にとってどうなのか


長く生きることは社会にとってどうなのか。良い、悪いとどちらか一方に考えを寄せることはできませんが、自身の衰えを知ることが大切だと思います。自身が衰えたと実感した時、とうの昔から周りはその衰えに気がついています。

私が学生の頃にはニュースにもならなかった老人が運転する車の事故。アクセルとブレーキを踏み間違えたり、道を逆走したり。犠牲になる方が後を絶ちません。昔はこのような事故がなかったのか、それとも報道されなかっただけなのか。重ねますが、長く生きることは社会にとってどうなのか。良い、悪いとどちらか一方に考えを寄せることはできません。

なにしろ私はひとりが好きですが、たまに思うことがあります。ひとりで生きるには、人生は長すぎると。


※ 追記(2019/06/12)

2018/10/16
広がる自転車保険の義務化。私はクレカの個人賠償責任で十分
自転車保険への加入を義務化する地域が増えています。自転車利用者が歩行者にけがを負わせて、高額賠償を請求されるケースが全国で話題に挙がるなど、保険が必要という意識が高まっているのがその理由でしょうか。

2018年1月29日月曜日

30代のしもやけ。症状が出る前に、かからないためのケアを


こんばんは。ひとりです。

30代になってから、身体に変化を感じます。その1つが、しもやけになりやすくなったことです。私の場合、それは手足よりも耳です。


しもやけは寒暖差が原因の1つに


平均気温4~5度、1日の気温差が10度前後になると、しもやけが発症しやすいといわれます。11月~3月頃は特に気をつけたいところです。

しもやけは、寒さや冷えの刺激による血行障害が原因です。

寒い場所に長時間いると、動脈(心臓から血液を送り出す)と静脈(心臓に血液が戻る)がともに伸縮して細くなります。

寒い場所から暖かい場所に移ると、動脈は伸縮性があるためすぐに元の血管の太さに戻りますが、静脈の戻り方は動脈に比べると遅いです。この伸縮のずれによって、動脈から流れこむ血液が、静脈に出て行かないということが起こります。体の末端部である手足や耳は、動脈が毛細血管を経て、静脈に切り替わる場所でもあります。

また、寒いと毛細血管も縮んで血行が悪くなります。末端の細胞まで酸素や栄養が運ばれにくくなると、しもやけの症状も悪化します。寒い外から室内へ、急に温かくなると拡張した血管が神経を刺激して痛みやかゆみが発生する原因になります。激しい温度差で血管の収縮回数が増えて、血行が悪くなり、しもやけになりやすくなるということです。


かかってからの治療よりも、かからないためのケアを


しもやけは症状が出てからケアしがちですが、しもやけにかからないことが1番です。調べてみると、ビタミンEの摂取が効果的だそうです。末梢の血流改善効果があり、アーモンドやかぼちゃ、アボカドや落花生、ほうれん草などに含まれます。

また保湿クリームも大切ですね。ビタミンEを配合したものがあり、例えばユースキンAやビタミンクリームが挙げられます。室内も含めて、寒暖差の激しい11月~3月頃は特に気をつけたいです。

メンソレータム メディカルビタミンクリーム | ロート製薬

ユースキンA | ユースキン製薬株式会社

しもやけになってしまった場合は、炎症やかゆみを抑えるステロイド剤や抗ヒスタミン剤が含まれるものがおすすめです。ちなみに私は資生堂薬品の薬を使っています。

エンクロン 軟膏EX|資生堂薬品株式会社

かゆみがひどいと、勉強も仕事も集中できませんからね。健康に投資することの大切さが、年齢とともに分かってくるようになりました。

2018年1月28日日曜日

映画「ファウンダー」。マクドナルドの知られざる創業者


こんにちは。ひとりです。

映画「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」を観ました。ファウンダー(founder)とは創業者の意味で、映画の原題「THE FOUNDER」にも使われています。

邦題にもあるようにハンバーガー帝国が築き上げられるまでの物語です。このハンバー帝国は全世界で今や約3万6000店舗を構え、世界中の約1%が毎日食べているという、言わずと知れたマクドナルド(McDonald’s)です。

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ


主人公のレイ・クロックは、ファストフード店「マクドナルド」のフランチャイズ化を進めて、世界的チェーンに育て上げました。ミルクセーキ機の販売員として全米を回るうちに、効率的なハンバーガー調理システムを導入したマクドナルドに出会い、フランチャイズ権を獲得。52歳でマクドナルドシステムを創業した経緯が描かれています。

本作の構想はマーク・ノップラーの「ブーム・ライク・ザット」の歌詞に描かれた、マクドナルドの誕生秘話への着目から始まったといいます。

Mark Knopfler - Boom, Like That (Promo Video) OFFICIAL


映画の前半ではレイ・クロックを応援したくなりますが、後半では彼のやり方に反感を覚えるようになります。全ての部分で良い人、悪い人とは割り切れないのが現実ですが、映画にはどうしてもそれを求めがちになってしまいます。そのバランスの取り方は観る側にヒリヒリとした駆け引きの緊張感として伝わってきます。

主人公の生き方もそうですが、革新的なファストフードシステムが誕生するまでのシーンは興味深いです。またマクドナルドのロゴマークや店舗の外観、厨房スタッフの帽子は、当時を忠実に再現したものでそちらにも注目が集まっています。

監督はジョン・リー・ハンコックで、「ウォルト・ディズニーの約束」(2013年)でも今作同様に、映画「メリー・ポピンズ」の製作裏で起きていた原作者パメラ・トラバースとウォルト・ディズニーの対立を描いて、ディズニーの暗部を露わにしています。


フランチャイザー成功のエッセンスが凝縮


新作映画の場合、評論家のプレビューが上映前に新聞や雑誌に掲載されます。今作の場合もそれはほかと同じですが、掲載された媒体に特徴があります。情報誌や男性、女性ファッション誌の映画コラム欄のほかに、飲食業界や宿泊業界を始めとする経営誌、経済誌にも多数紹介されている点です。

また堀江貴文さんがラジオ番組「日曜シネマテーク」に出演した際には、2017年のベスト3映画の1つに挙げられています。

以下引用
この映画は経営者が絶対に観るべき映画です。マクドナルドのファウンダー(創業者)だったレイ・クロックという人物を描いています。もともとマクドナルドはカリフォルニア州のマクドナルド兄弟が1940年代に作ったハンバーガー屋でした。 
当時のアメリカはモータリゼーションが進む中、ドライブスルーが大人気だったのですが、派手な格好の女の子がローラースケートをはいてハンバーガーを持ってくるようなスタイルは、いろいろトラブルも起きていました。そこで工場のようなライン化を取り入れ、大成功を収めたのがマクドナルドです。 
レイ・クロックは訪問販売の営業マンをしていたのですが、マクドナルドに出会って衝撃を受けます。そしてマクドナルドを大規模なフランチャイズ展開に導こうと試行錯誤する……というのがこの作品。どうやって世界最大のフランチャイザーが生まれたのか、そのエッセンスがこの映画に詰まっています。

ちなみにほかの2本は、「君の名は。」と「ハドソン川の奇跡」です。


主人公レイ・クロックとドナルド・トランプ米大統領


行動力と粘り強さで夢をつかむ主人公レイ・クロックは、一方で人のふんどしで相撲を取る、ずる賢い人物でもあります。前向きで努力家でありながら、成功のためには手段を選ばない、善人とも悪人とも言えない人物を、マイケル・キートンが絶妙に演じています。

劇中、セールスがうまくいかないレイが、レコードで演説を聞く場面があります。この演説の主はノーマン・ビンセント・ピールで自己啓発の元祖といわれています。「ポジティブ・シンキング」という言葉の生みの親でもあります。そしてドナルド・トランプ米大統領にも影響した人物です。

後半に見せるレイの強引な手法は、ドナルド・トランプ米大統領を彷彿とさせます。この映画がアメリカで公開されたのは偶然にも2017年1月20日。大統領就任式の日でした。

ブランディングの重要性を理解しているという点で、レイ・クロックとドナルド・トランプ米大統領に共通点があります。特に名前のブランド力でレイは、自分の名前「Kroc(チェコ系)」では商機なしとみて「マクドナルド(スコットランド・アイルランド系)」に固執しています。なにせマクドナルドという名前に惚れ込み、商標権を買い取ったのですから。

一方ドナルド・トランプ米大統領は、ビジネスで成功した自身の商号が持つ影響力を理解して、大統領に就任する前にも後にも生かしています。


現在も残る1号店は、マクドナルドミュージアムに


レイ・クロックは1954年、マクドナルドを開いたマクドナルド兄弟と52歳で出会い、同兄弟との確執を経て1961年にその権利を買収しています。その後、今日のマクドナルドの前身となるマクドナルドシステムを創業し、以降はチェーン展開によって世界にマクドナルドを築き上げました。

マクドナルド兄弟がつくった1号店は劇中にも描かれていますが、ロサンゼルス郊外のサンバーナーディーノに残っています。

レイ・クロックはマクドナルドの経営権を得た後も、この店だけは兄弟に残しました。しかしマクドナルドというブランドの商号はレイが所有していたため使えずに、兄弟は別の名称でハンバーガーショップを運営することに。しかし、うまくいきませんでした。

「マクドナルドミュージアム」として現在は運営され、マクドナルドグッズとともに入口にはファウンダー(創業者)であるマクドナルド兄弟を顕彰するプレートが設置されています。兄弟から店を買い取り、ミュージアムとしたのは日系三世のアルバート・オクラという人物です。

広い敷地に建つゴールデンアーチからは、1950年代に進んだモータリゼーションの影響もあり、手早く済ませられる食事、ファストフードがいかに時流に乗っていたかを感じ取れます。

ちなみにケンタッキー・フライド・チキン(KFC)もマクドナルドと双璧をなすファストフードチェーンです。

カーネル・サンダースの手記がウェブサイトで公開


ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)の創業者として知られるのがカーネル・サンダースです。カーネルがフランチャイズチェーン展開を開始したのが1952年です。62歳でフライドチキンをワゴン車に積んで全米各地を回り始め、約5年後には全米とカナダで400店舗の一大チェーンを築き上げたといいます。

KFCホールディングスのウェブサイトには、カーネル・サンダースの手記が公開されています。504ページにも渡るPDFデータがダウンロードできます。

カーネル手記 |日本KFCホールディングス株式会社 KFC Holdings Japan, Ltd.


「ヒト・モノ・カネ」で映画を観ると


経営誌や経済誌にも取り上げられている通り、この映画は経営的視点でも楽しめます。例えば「ヒト・モノ・カネ」で取り上げると。

1)ヒト
52歳で出会ったのがハンバーガーショップを営むマクドナルド兄弟です。セールス電話のやりとりから興味を持ち、実際に店を訪れることで成功への道が生まれました。また自身が立ち上げた店では、肉の焼き方が上手な青年を見つけると、後に自身の右腕として引き立てています。資金繰りに苦しんでいた時に銀行の外で声をかけられたコンサルタントを会社に迎え入れます。見込んだヒトを、自分にはない能力を持つ人を口説いて成長してきた過程が見えます。

2)モノ
ハンバーガーショップのお客を待たせない「スピード・サービス・システム」に目を付けます。また街中を見上げると目に入る、教会の十字架や国旗と同様に店のアイコンとなる「ゴールデンアーチ」。さらにその商号などモノそのものではなくサービスやブランドに着目して買収を仕掛けています。

3)カネ
マクドナルドの全米展開のために自宅を担保に資金を得ています。また店舗数拡大のためにも大胆な手を打ちます。ビジネスにおいてお金を借りて投資をすることは成長への一歩であり、そこに必要なのが時期と決断です。


成功について、レイ・クロックが自伝に書き記しています。

If there is any one secret of success, it lies in the ability to get the other person’s point of view and see things from that person’s angle as well as from your own.

成功の秘訣というものがあるとしたら、それは他人の立場を理解し、自分の立場と同時に他人の立場からも物事を見ることのできる能力である。

『成功はゴミ箱の中に レイ・クロック自伝 — 世界一、億万長者を生んだ男 マクドナルド創業者』レイ・クロック著(邦訳:プレジデント社)より。


善悪割り切れない「成功者」の姿を映画で見た後では皮肉の1つも言いたくなりますが、成功すれば正義と捉えられがちな世間では成功者の言葉の1つとして残っているのでしょう。何事も後々に意味が生まれる世の中です。

2018年1月25日木曜日

有価証券報告書は、会社の経営成績を示す“通信簿”


こんばんは。ひとりです。

日本取引所グループが主催する株式セミナーが24日、大阪証券取引所ビルで開催されました。内容は株式投資基礎講座で、2日間に渡る内容です。24日はその2日目で「決算短信・有価証券報告書の見方」をテーマに開催されました。

1月24日(水)18:30~20:00
「決算短信・有価証券報告書の見方」
講師:東京証券取引所 上場部担当

1月17日(水)18:30~20:00
「会社四季報の見方」
講師:日本証券業協会 証券・金融インストラクター


お粗末な資料と時間配分が課題


セミナーは残念な内容でした。その理由は2つ。使い回しと思われる資料と時間配分です。いずれも講師自身が自覚しているものと思われます。

セミナーの時間配分にも関係しますが、配布された資料は90ページ。1時間半のセミナー時間内で説明が行き届かないのは当初から明らかでした。セミナー冒頭で講師自身が全ての内容を説明しきれませんと宣言する始末です。

また表紙の日付だけを更新した使い回しと思われる資料。そう感じた理由の1つは情報の古さにあります。

説明で挙げられた銘柄の1つに花王があります。資料に掲載された決算短信の日付は、2016年(平成28年)12月期のもの。またヤフーファイナンスのキャプチャー画像は2017年7月14日、この時の株価は6,740円を付けています。花王の株価は1月24日現在、7,697円まで上がっています。

セミナーのテーマ「決算短信・有価証券報告書の見方」に話が及ぶまで、資料を32ページもめくりました。いざ該当箇所に入っても、残り時間を気にするあまり受講生への分かりやすさよりも資料を読み切ることにまっしぐらでした。

銘柄を選別するためのセミナーではないので情報の新しさはさほど求められませんが、それにしてもお粗末なセミナーでした。


株式投資に使える実務知識を期待したが


決算短信・有価証券報告書の見方がテーマとあって、今回のセミナーには株式投資の銘柄選別に使える実務知識の身につけ方を期待していました。

ここで1つ疑問が。東証社員が講師を務めるセミナーはどのようにして講師を選んでいるのでしょうか。また選ばれた、もしくは立候補した講師は事前に東証社員同士でセミナー内容の品質チェックは行わないのでしょうか。

このまま興味を失うのはもったいないような気がして、セミナー受講前に調べておいた資料を見直すことに。過去の新聞や雑誌を調べてみると、このような関連記事が見つかりました。


有価証券報告書の読み方を、新聞や雑誌が定期的に解説


例えば日経新聞夕刊に2017年7月18日〜7月28日まで、8回(8日間)に渡り連載された「有価証券報告書の読み方(なるほど投資講座)」が分かりやすいです。各回の見出しを書き出してみます。

有価証券報告書の読み方(なるほど投資講座)
(1)企業の実態知る「情報の宝庫」
(2)虚偽記載で上場廃止の恐れも
(3)非財務情報の重要性高まる
(4)財務諸表、注記事項が充実
(5)M&Aの影響を探る
(6)リース、会計処理異なる2種
(7)退職給付会計で「備え」確認
(8)関連当事者取引にルール

有価証券報告書と決算短信の特徴説明から始まり、会計不祥事の主な例や企業情報の事業等のリスクの例まで。会計不祥事については2011年のオリンパスや2015年の東芝が記憶にあります。事業等のリスクの例では、各社様々。

例えば経営者の交代をリスクに挙げている企業があります。ソフトバンクグループです。ソフトバンクグループでは「孫正義会長兼社長に不測の事態が発生した場合、グループの事業展開に支障が生じる」と記載しています。ほかにも、ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長、イオンの岡田元也社長らが交代リスクに挙げられています。

有価証券報告書には非財務情報として、その企業ならではの事業リスクの記載があります。どの企業がどんなリスクを示しているのか、調べてみるのも興味深いですね。

ほかには「はじめての有報」として日経新聞に2014年7月15日〜7月19日まで、5回(5日間)に渡り連載された記事があります。

はじめての有報
(1)経営成績示す「通信簿」― 企業の全容、1冊に。
(2)会社を動かす経営陣は ―1億円以上の役員報酬も。
(3)グループの全体像をつかむ ― 出資や役員のつながりを知る。
(4)親会社の情報で分かる稼ぎ方 ― 配当に充てる利益つかむ。
(5)大株主の顔ぶれを確かめる ― 海外投資家の売買にヒント。

またここ1年以内の雑誌ではこの2冊が分かりやすいです。

週刊ダイヤモンド
「特集 会社の数字がわかる反復練習 決算書100本ノック!」
2017年9月9日

週刊ダイヤモンド
「特集 これからの必須スキル まるごと一冊 会計&ファイナンス超理解」
2017年6月10日

有価証券報告書の読み方を、興味を持って調べてみると新聞や雑誌が定期的に特集を組んでいますね。


有価証券報告書と決算短信の違いは


ちなみに有価証券報告書と決算短信の違いは、毎日新聞の「ことば」によるとこうです。
有価証券報告書(有報、ゆうほう)は、上場企業が事業年度ごとに概況や財務内容、関係会社の状況など詳しい経営状況を説明する文書。 
金融商品取引法に基づき、事業年度の終了後3カ月以内に財務局に監査法人の意見を得て提出する義務がある。 
財務局に認められれば延長は可能だが、認められなければ一定期間の後に上場廃止となる。 
決算短信は有報より内容が簡潔で、証券取引所の規定で迅速な開示が義務づけられている。開示の遅れに罰則はない。

有価証券報告書や決算短信の知識は、私が挑戦している中小企業診断士試験にも求められます。曖昧な覚え方ではなく、人に説明できるぐらいまでしっかり内容と理屈の理解が必要です。