日米株式市場の下落が止まりません。保有する米国ETFはここまで、何とか円安の為替差益で救われていましたが、その効果も残りわずか。含み益がどんどんと削られていきます。
例えば全米株式に投資するVTIの含み益は現在、12.53%です。
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外貨建評価損益 12.53% |
この調子だと含み損に転換するのはそう遠くなさそうです。
ESG投資はやはり儲からないのか
あるETFを先日、薄利確定しました。S&P 500 ESG指数に連動する商品です。
- (2635)NF・米国株S&P500 ESG ETF
ESG(環境、社会、企業統治)投資は流行りテーマの一つで、ESGと商品名に冠するだけでブランド化し、信託報酬を通常の商品よりも上げられるというものです。事実は異なりますが、私は経験からそのように解釈しています。
例えば、野村アセットには他に(2633)NF・⽶国株S&P500ヘッジ無ETFがあります。
- (2633)NF・⽶国株S&P500ヘッジ無ETF
簡単に言えばS&P500をESG指数で選別(310社)しているか、選別していない(500社)かというもの。ESG指数に照らして数を減らすだけで、信託報酬は倍になります。
- (2635)NF・米国株S&P500 ESG ETF … 0.1430%
- (2633)NF・⽶国株S&P500ヘッジ無ETF … 0.0770%
投資成績が、信託報酬の高低で差が付けば投資判断は楽ですが、そうでないのが悩ましいところ。ただこれはESG投資に限ったことではありません。
運用業界の中では、ESG投資の取り組みを誇張する動きが後を絶たず、それらは「グリーンウォッシュ」として問題になっています。
日本を含め、世界の運用業界はこのESG投資でお金を引き寄せてきましたが、運用成績はやはり事実が投影され、直近は市場平均を下回ります。テーマ投資は運用成績が外部環境に左右されやすく、それはESGにも当てはまります。
ESG銘柄の大半はテクノロジー銘柄
具体例を挙げると、MSCI米国ESGリーダーズ指数は昨年比で15%安となり、ダウ工業30種平均の同9%安に見劣ります。
ESG銘柄の特徴として、温暖化ガス排出量の少ないテクノロジー銘柄の構成比が高く、それが昨今のインフレと金利上昇で下落圧力が強まったため下げたという理屈です。
またウクライナ危機を受けて世界はエネルギー安全保障を優先するようになりました。ESG指数は気候問題を優先した運用で、上昇率の高いエネルギー関連銘柄を避けた影響も見えます。
皮肉にもエネルギー関連銘柄比率の高いHDV(iShares Core High Dividend
ETF)は、年初来4.11%と上昇しています。
私の数少ない投資経験から言うと、なにかのテーマに偏った商品への投資は回避したほうが、もしくは短期売買に徹した方が得策です。それが例えばESGであってもです。
よく考えると、ESGとわざわざ誇張せずとも時価総額の大きな企業がESGを軽んじるはずはありません。ここは全米株(VTI)やS&P500に、腰を据えて投資するほうが良いです。昨今の市場変動で改めてそう感じます。